高畑勲

心理学では人を救えない。もっと肉体も精神も込みにして人を鍛えていかないとダメだと思います。
みんな「心のケア」が必要だと言ってますが、個人の「心」だけではいけないんじゃないでしょうか。
対人関係の中で心を育て、鍛えていく身体的現実的な教育をしなければいけないのに、そうなっていない。
引きこもりになったことをなじってもしょうがないとか言われていますが、それ不自然だと思う。
僕は対人関係の中でも物事を解決していくという意味からも引きこもりに腹を立てるのは当然だと思う。
一般論として、それも言えないというのは、それこそ心を解放してはいけないということになりはしないでしょうか。
心が「ケア」可能なモノだとみなされてしまっているんじゃないでしょうか。
たとえばアニメやゲームが病んだ心を「癒し」てくれても、その癒しで対人関係が打開されるはずは絶対にない。
(『シネ・フロント』二〇〇三年七・八月号)


どうすんのこれ