不穏な空気は自主練習を続ける現場の選手も察知している。その影響もあるのだろう。ある球団では全選手、関係者に外出自粛を通達しているにもかかわらず、球団施設の使用可否や首脳陣の視察状況をスタッフに聞いてくる選手もいるのだとか。

 あるコーチは現状をこうつぶやく。
「選手が先の見えないシーズンやオフの去就に不安を抱えるのは理解できる。ただ、この期におよんで練習嫌いだった選手が急に練習に出てきて首脳陣の顔色をうかがいながらアピールされるのも複雑な気持ちになる。
そんな危機感を持っていたのなら『もっと前から野球に対して真摯に取り組んでおけよ』と」

 とはいえ、選手の気持ちもわからないでもない。同コーチは「やるだけやって結果が出なければ戦力外も受け入れられるだろうけれど、昨季の成績で判断されて今オフにクビではやるせないはず。
球団やNPBが何らかの救済措置を設ければいいのだろうけど、どちらも経営を圧迫されているはずだから…。難しいだろうね」とも続けた

 未曽有の災禍で今オフの中堅選手を襲う「コロナ引退」。その足音は確実に近づいている。