なんやこのベテラン

首脳陣から直接の説明はあったのか?
 率直に訊ねてみた。久しぶりに7番に座ったけど、事前に工藤監督や首脳陣から直接の説明など配慮はあったのか――?  松田宣はこともなげに、答えてくれた。

「何もないですよ。普通にロッカーでホワイトボードを見て確認しました。嫌な気持ち? そんなのあるわけない! 僕は試合に出ることに対するこだわりは強いけど、打順については何もない。
逆に下位の方が第1打席まで時間があって集中できるし、前の打者までの配球も見られるからいいじゃないですか」

 松田宣は建前で話すタイプではない。偽りのない本音だろう。

「それに7番バッターがホームラン30発とか打っていたら相手チームは嫌でしょ。それって最高じゃないですか(笑)」

 妙なプライドを振りかざすこともなく、チームのために常に熱くなって戦う男。首脳陣にとってはこんなありがたい選手、なかなかいない。
https://number.bunshun.jp/articles/-/840417