金本新監督が惚れ込んだ“義”の男。片岡篤史コーチの「厳しさと懐」。 鈴木忠平. 2016/01/24 10:45

「俺が俺でなくなってしまうんや」
「なぜ、片岡さんが辞めないといけないんですか」

 筆者もそうだった。辞任の情報を聞いた日の夜、電話を鳴らした。まだ新監督の体制1年目。監督だって辞めない。来年、やり返せばいいのでは――。
「ありがとうな。でも、責任はあるよ。それにな。これで続けたら俺が俺でなくなってしまうんや」

 金になる世界だ。現職にしがみつく人間だっている――。そんな記者の胸中も見通して、こう続けた。
「しがみつくのは悪いことじゃない。みんな生活があるんだから。それを批判したらあかんで」
あるべき姿を常に貫く「義」の人だ。
厳しい人だった。挨拶の仕方、質問の仕方から酒の飲み方、カラオケの選曲まで……。ただ、最も厳しいのは自分に対してだった。

https://number.bunshun.jp/articles/-/824951?page=2