“ファン目線”

 自らを「ファン出身」という花木さんは、
この仕事を始めた当初からチームのファンと仲良くなるのが大好きで、
神戸の球場で運営を担当するようになった2000年ごろから、
試合後にファンを“お見送り”することを始めた。

 開場前に球場内の通路をグルッと歩き、売店のスタッフに「今日も頑張りましょうね」と声を掛けて、
門からスタンドに通じるスロープの上に立ち、お客さまを迎える。
そして、試合が終わった後は、帰途に就くお客さまと会話してふれあい、お見送りする。
この日課は、もう20年近く続いている。

 始めた頃はちょうど、オリックス球団が神戸の球場のボールパーク化を進めている最中で、
内野のフィールドを芝生にするなど、スタジアムのイメージを高める取り組みを行っていた。
ハード面だけでなく、ソフトの側でも、球団職員が最前線に立ち、お客さまとじかに接する……。
できそうで、なかなかできていないことを、この人は事もなげにやってきたのだ。