「慎重に投げすぎました。自分でも評価しづらい内容」は、5イニングで110球。
「ない方が良かったけど、無駄じゃなかった時間」。昨年11月の手術から実戦復帰までの5カ月間を、そう振り返る。
遊離軟骨が見つかり、昨秋に炎症を起こした左肘。疲れで下半身が使えず。力任せで腕が下がって負担がかかるー。そんな悪循環の解消に向け、グラウンド外でもアプローチした。敏感になった体への意識。
スポーツ解剖学の書籍で筋肉や骨の動きを知るほか、栄養学にも興味を持った。エネルギーの源でもあるブドウ糖が肝臓から供給されることなどを知り、「体の疲れは内蔵の疲れでもある」と知識を習得。
厳しい練習で肉体を酷使した時は大好きな肉を我慢し、消化の良い食事を心掛ける。適度な気分転換でストレスも発散。趣味の幅を広げようと、選手寮の屋上でミニトマトの栽培を始めた。
この日も出発前に水を与え「育ってます」と喜ぶ。買い物欲も解禁し、元米ヤンキースのデレク・ジーターをモデルにしたスニーカーを衝動買い。10万円と高額でも、「履くとテンションが上がる」と愛用する。
「もっと早く勝てた」。周囲の期待値と自らの力量を考えると満足はしない