かつて仙台遠征といえば、原前監督の主催で首脳陣、選手、スタッフが一堂に会し焼き肉店で決起集会を開くのが恒例だった。「個人より巨人」を掲げチーム一丸を重視する思いの表れだった。

 だが全体主義の自己犠牲も行き過ぎれば、個人は摩耗する。その副作用を身をもって感じた高橋監督は就任後、各選手を尊重するとともに、個の力を高めて打開する“ストロングスタイル”のチームを目指してきた。

 高橋政権で初の仙台遠征となった今回、昨29日の全体練習後にチーム全体では決起集会を行わなかったことも、そうしたポリシーと通底する。だが自主性と自立を求める指揮官の思いに現状で選手は応えきれていない。

 セ・リーグ首位広島に6・5ゲーム差(30日現在)。青年監督はあくまで理想を貫き、各選手の個の力を信じた戦いを続けるのか。 (笹森倫)

地蔵は辞めるしかない