野村 対照的なのは阪神の金本知憲監督。競争をあおることも必要だけど、打順を変えすぎだよ。

宮本 阪神は今季、「超変革」という旗印のもと、若手を試さなければいけない状況です。実績がない選手をガチッと固定するのは難しいですよね。
広島の田中、菊池、丸も昨年までに「ホップ、ステップ」の段階があって、今季がありましたから。

野村 人は習慣的要素を持っている。現役時代、長い間、4番を打っていて、1番、2番が打席に立って「ぼちぼち俺やな」と準備に入る。
それをコロコロ変えられると、そういう「備え」の気持ちがどこかに飛んでしまう。
だから、阪神のリードオフマンとして牽引してきた鳥谷敬を8番で使ったのもどうかと思うね。

宮本 僕もチームが若返りを図ったとき、首脳陣からなにも言われずにスタメンを外されたことがあります。
でも、結果が出ていれば、そうはならない。その時はショックでしたけど、結果を出すしかないと思いました。

野村 選手の気持ちや、性格、心理。そういった「見えないものを見る」のも、監督の大切な仕事なんだ。