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春は今宮。やうやう広くなりゆく生え際、少し明かりて、紫だちたる髪の細くたなびきたる。寒行、特打などするもいとあはれなり。
夏は岩崎。闇もなほ、打球の多く飛びちがひたる。連投のころはさらなり。また、ただ一つ二つなど、HRにうちひしがりて行くも
をかし。先発でなくば引退と宣言済も毎年いつのまにか中継ぎなどに降る上、年俸と背番号は下がらず、いとあやしけり。
秋は東浜。夕日の差してシーズン終了いと近うなりたるに、消化試合になるとて、三つ四つ、二つ三つなど投げ急ぐさへあはれ
なり。まいて東都大学野球で大記録の連ねたるが、打たれていと小さく見ゆるは、いとをかし。
冬は武田。雪の降りたるは言ふべきにもあらず、霜のいと白きも、またさらでもいと寒きに、代理人など急ぎおこして、契約保留
して渡るも、いとつきづきし。年明けになりて、ぬるくゆるび契約更改にいけども、ファンの反応も、白き灰がちになりてわろし。

鷹草子