投資家の間では、ルノーと日産が統合しても、逆に連合を解消しても、今の持ち合い株式の価値は高まる可能性があるとの見方が聞かれる。
エバーコアISIは2月、ルノーが持つ日産株は40%過小評価されているので、一部を売却すべきだと提言していた。

また今回の日産の急激な利益の落ち込みと、それに伴う減配によって、シティの予想ではルノーの今年の利益は1億3000万ユーロ下振れしてしまう。

それでも西川氏は、大幅減益は「旧経営陣の負の遺産」が原因だと説明。スナール氏が提案したようなルノーとの統合に反対する考えを改めて示した上で、
進退は自ら決めるべきだと引責辞任を否定した。

<拙速は愚策>

とはいえ西川氏が本当に進退を自己決定できるかどうかは、日産の取締役会の情勢次第になる。近く開かれる取締役会は、業績悪化発表後でも西川氏が
どれだけ支持を得るかどうかが試される最初の機会だろう。

一方でルノーはすぐに統合交渉を始めろという要求は取り下げたが、統合方針自体は決して撤回していない、と両社の複数の関係者は断言した。

さらにルノーの経営陣に近い関係者の話では、同社は非公式な形ながらも話を前に進めるためには「西川時代のページを閉じる」必要があるのでは
ないかと論じている。

ルノーはティエリー・ボロレ最高経営責任者(CEO)を日産の次期取締役会メンバーに送り込みたいとも考えており、ボロレ氏がゴーン被告の
側近だった経緯などから、日産側では挑発的なやり方だとみなされている。日産のある重役は「ボロレ氏を強引に取締役にしようとすれば、
いろいろ厄介なことが出てくる」と懸念した。

いずれにしても統合を巡る温度差は激しい。日産は必要な事業の立て直しに向けた軌道を外れてしまうとみなす半面、ルノーは本来の連合関係を
回復させるために不可欠な手順であり、意思決定の迅速化や株価押し上げなどをもたらすと評価している。