―ゴーン容疑者逮捕により日産・ルノーの資本関係見直し論が加速する可能性があります。仏政府の思惑をどう分析しますか。
 「現状維持というのは最低条件だろう。日本政府と交渉する場面も出てくるのではないか。これまでのところ日本政府は、仏政府に連れない反応をとっているようにみえる。仏駐日大使が
留置場に出向き、ゴーン元会長と面会した。これは異例だと思う。『仏政府を甘く見ないように』とのサインとも読める。仏政府が反撃に出る展開もありえる」

 ―マクロン仏大統領は支持率が20%台に落ち込んでいます。回復のため、ルノーの日産に対する支配力を維持・強化させるという成果を求めませんか。
 「支持率のプラスになる案件とは思えないが、失敗できない案件とはいえるだろう」

【記者の目】3社が共倒れも
 ゴーン容疑者逮捕を契機にルノーとの資本関係を「対等」なものに再構築したい日産を仏政府がけん制。対して日本政府は静観というのが今の状況だ。日産、ルノーで問題を解決するのが
理想だが、仏政府の出方によっては、日本政府が動かざるを得ない局面が来るかもしれない。両政府の思惑で連合に、経済合理性を無視した新たな歪みが生じれば、3社が共倒れになりかねない。